神経を圧迫して痛い!?

神経の圧迫と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、椎間板ヘルニアでしょう。椎間板の髄核が飛び出し、脊髄神経を圧迫して痛みが出るものだと思われていました。

ところが、この説明はもう時代遅れです。

結論から言うと、ヘルニアは放っておけば、半年から8ヶ月くらいで自然に引っ込むということが腰痛学会でも言われてきています。

ヘルニア

OA
      
左図を見ると確かに飛び出した髄核が神経を圧迫しています。

この画像を提供して下さった患者さんは、牽引、電気療法、温熱療法を受け、鎮痛剤やシップをもらっていたそうですが、改善は見られなかったそうです。

右図の画像は、OA(変形性膝関節症)の患者さんの左膝のレントゲン画像です。正座が出来ず、階段昇降がきついそうです。

  • 軟骨が磨り減っているから痛い。
  • 骨がぶつかって痛い。

のだと説明を受け、

  • 老化現象

なのでうまく付き合うようにとのことで、シップをもらって、数回ヒアルロン酸を注射をしたが改善は見られませんでした。

ここで様々な矛盾が出てきます。

  • 構造的に変化がないのに、日によって痛みの強さが違う。
  • 両側変形しているのに片側だけ痛い場合がある。
  • 画像診断と実際痛い箇所が異なる場合がある。
  • 風呂上がりなど、温めると痛みが軽減する事が多い。
  • 変形が治らなくても、保存療法で痛みが軽減する場合がある。

レントゲンを撮り

[check]背骨が変形しているから

[check]骨のトゲがあるから

[check]骨密度が低いから

あたかも痛みの原因を老化現象による骨の変形とされるご高齢者
が多いと思います。

しかし、研究データによれば、腰痛のピークは30代40代であり、それ以降は徐々に少なくなっていくのです。

腰痛の年齢別分布

老化による骨の変形が痛みの原因であれば、年代があがるごとに患者数が増えるはずですが、グラフを見ても分かるように、そうではないようです。

すなわち、骨の変形は、みなさん歳をとれば白髪やシワができるのと同じように、単なる老化現象にすぎず、そのことが痛みの直接的な原因ではないのです。

神経が圧迫されて痛いということについては、

[check]生理学的に脊髄神経を圧迫しても痛みは生じず、麻痺が起きます。

言い換えると、
[check]強い圧迫がある場合、麻痺が起き、痛みを感じなくなります。

例えば、足の裏にもたくさんの神経がありますが、体重200㌔の人が立ってもシビレは出ません。

神経を圧迫している時は、その神経支配領域の運動性が低下します。
「足が地に着かない。」「足が重い。」などの自覚症状を感じるのはこのためです。