遅れている日本の腰痛治療
参照 TMSジャパン
上図を見ていただけると分かると思いますが、これだけ病院医療が発展してMRIやX-P画像が進歩していると言われているにも関わらず腰痛、肩こり、関節痛の患者さんは増えているのです。
MRI、エコー検査、X-P(レントゲン)では、腰痛や他の疾患の原因は解明できません。画像に写ったものを何の根拠もなく異常と決めつけてしまっているのです。
この方は、石灰沈着があるから腕が上がらなくなっているのだと、言われたそうです。現在は右肩関節はしっかり挙上できるようになっています。原因は、骨盤でした。石灰が沈着しているというのはあくまで現象です。痛みや運動性の低下とは関係ないことが分かります。
私が臨床に出てから年月が経ちますが、腰痛はこの新はり治療をやるようになってからも分からないことが多い症状です。
結論から述べますと、
腰痛をはじめとする数々の症状の原因は、一人一人違う
という事です。
腰そのものに問題がある人もいれば、首に問題があって、腰痛を引き起こしている人もいるし、脳の異常が腰痛を引き起こしている人もいます。
似たような症状の人がいたとしても個々に違うのです。
その原因を追究することが出来るのが、微細な筋肉反射テストであり、この新はり治療によって回復力を向上させることが出来るのです!!
治療院勤務時にいろいろな患者さんを診てきて、数々の疑問が出てきました。院長紹介でも記載しましたが
- なぜ、同じ変形なのに痛みがでる人と、そうでない人がいるのか?
- 同じ症状がまた出てきてしまうのはなぜなのか?1回で症状がなくなる人との違いは?
- マッサージをしてもまた筋肉が硬くなってくるのはなぜなのか?
- 画像での診断箇所と痛む箇所が違う場合がある。
- 変形が治らなくても保存療法で痛みが軽減する人がいる。
神経が圧迫しているから痛い。
骨盤がずれているから痛い。
軟骨がすり減っているから痛い。
椎間板が潰れているから痛い。
使い過ぎて筋肉が疲れて痛くなる。
かつて整骨院に勤めていた時に、私も患者さんに説明をしながら疑問を感じていたことを覚えています。
上記の説明は、全て間違いです!!
欧米の医療現場では、このようなことは数十年前から言っていません。
日本の病院医療は、海外に比べて遅れているのです!!
→腰痛
以下に日頃よく言われている5つの間違った腰痛の原因について記載していきます。
神経を圧迫しているから痛い!?
神経の圧迫と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、椎間板ヘルニアでしょう。椎間板の髄核が飛び出し、脊髄神経を圧迫して痛みが出るものだと思われていました。
ところが、この説明はもう時代遅れです。
結論から言うと、ヘルニアは放っておけば、半年から8ヶ月くらいで自然に引っ込むということが腰痛学会でも言われてきています。
左図を見ると確かに飛び出した髄核が神経を圧迫しています。
この画像を提供して下さった患者さんは、牽引、電気療法、温熱療法を受け、鎮痛剤やシップをもらっていたそうですが、改善は見られなかったそうです。
右図の画像は、OA(変形性膝関節症)の患者さんの左膝のレントゲン画像です。正座が出来ず、階段昇降がきついそうです。
- 軟骨が磨り減っているから痛い。
- 骨がぶつかって痛い。
のだと説明を受け、
- 老化現象
なのでうまく付き合うようにとのことで、シップをもらって、数回ヒアルロン酸を注射をしたが改善は見られませんでした。
ここで様々な矛盾が出てきます。
- 構造的に変化がないのに、日によって痛みの強さが違う。
- 両側変形しているのに片側だけ痛い場合がある。
- 画像診断と実際痛い箇所が異なる場合がある。
- 風呂上がりなど、温めると痛みが軽減する事が多い。
- 変形が治らなくても、保存療法で痛みが軽減する場合がある。
レントゲンを撮り
背骨が変形しているから
骨のトゲがあるから
骨密度が低いから
あたかも痛みの原因を老化現象による骨の変形とされるご高齢者
が多いと思います。
しかし、研究データによれば、腰痛のピークは30代40代であり、それ以降は徐々に少なくなっていくのです。
参照:TMSジャパン
老化による骨の変形が痛みの原因であれば、年代があがるごとに患者数が増えるはずですが、グラフを見ても分かるように、そうではないようです。
すなわち、骨の変形は、みなさん歳をとれば白髪やシワができるのと同じように、単なる老化現象にすぎず、そのことが痛みの直接的な原因ではないのです。
神経が圧迫されて痛いということについては、
生理学的に脊髄神経を圧迫しても痛みは生じず、麻痺が起きます。
言い換えると、
強い圧迫がある場合、麻痺が起き、痛みを感じなくなります。
例えば、足の裏にもたくさんの神経がありますが、体重200㌔の人が立ってもシビレは出ません。
神経を圧迫している時は、その神経支配領域の運動性が低下します。
「足が地に着かない。」「足が重い。」などの自覚症状を感じるのはこのためです。
職業病!?
参照:TMSジャパン
腰痛患者さんの職業別分類から見ても分かるように、腰痛が一番多いのは無職の方のようです。肉体労働者と専業主婦の方は差が見られません。
腰痛は仕事で判断出来ることでもないようです。
回復する力が上がっていないために、痛みなどの不快な症状が出てしまうようです。
しかし、それは年齢ではないことは前述の通りです。
回復力が上がってこない「何か」があるのです。
ヘルニアが原因!?
参照:TMSジャパン
上のグラフは健常者の方を検査したデータです。
痛みやシビレなどを訴えていない方でも、これだけの方がヘルニアを持っているのです。
私が筋肉反射テストで検査した初診患者さんでヘルニアがなかった方はいません。
ヘルニアが飛び出て、それが神経に触れていることが痛みを引き起こしていると思われていましたが、この理論はもう時代遅れです。
ヘルニアの検査をすると、異常反応が出る下肢は力がしっかり出ません。どの場所によるかで異常椎骨が分かります。
ヘルニアによる神経根の圧迫が痛みを引き起こしているというのは間違いです。
腰の反り過ぎ!?
参照:TMSジャパン
グラフはスウェーデンの研究データによるものですが、腰の前弯角度で正常と言われているのは31°~40°です。
表からも分かるように、最も多いのは41°~50°です。
カイロプラクターや整体師は、この角度(ファーガソンアングル)を重視します。女性の方は腰が反っていると言われた方が多いと思います。
しかし、反っていても痛い人とそうでない人がいるようです。言い換えると、反り過ぎているからと言って、痛いわけでもないようです。
私の治療では、腰の反り具合が正常なのか異常なのかを検査して、いくら反っていても正常であれば、そこは治療対象から外れます。
一方で分離すべり症という診断をされて、
- すべっているから痛い
と言われた方も多いと思います。
分離すべり症については、背骨一つ一つの椎弓という部分が弱ってきて骨折を起こし、椎体が前に出てしまうものです。
この時、私の検査では必ずと言っていいほど
- ヘルニアの反応
が見られます。
すべっていることそのものが痛みをひきおこしているのではありません。
安静第一!?
参照:TMSジャパン
腰が痛いときは、安静にしているように指示をされた方も多いはずです。欧米諸国の医療では、安静を支持されることはありません。
1995年フィンランドのMalmivaaraらの研究によれば、急性腰痛患者186名を2日間のみ、安静群、ストレッチ群、痛みに耐えられる範囲内で日常生活を過ごす群、3つの群にわけ、その後の経過を調査しました。
その結果、最も早く回復したグループは、無理がない程度に動いたグループであり、もっとも回復が遅かったのが、安静にしたグループでした。
現在、欧米では
- 安静にしてはいけないということが主流
です。